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外反母趾の基礎知識・改善法

コラム担当:秋元接骨院院長・柔道整復師・
フットアジャストセラピスト  秋元 英俊
画像提供元:秋元接骨院
※画像や内容の無断転用を禁じます。
参照・引用元:秋元接骨院のホームページ

はじめに

外反母趾(がいはんぼし)という言葉を聞いたことがある、もしくはすでに良く知っているという方は多いと思います。メディアで何度も取り上げられているので、様々な情報を得ている方もいるかと思います。しかし一方で、たくさんの情報があるにも拘わらず外反母趾の症状に悩まされている方がたくさんおられるのも事実です。病院で診察を受けても、適切な治療やアドバイスがあるところと無いところがあり、不安になったりあきらめたりしている方も見られます。そこでユウキネットショップの健康コラムでは、外反母趾の情報を整理して掲載し、外反母趾のことを理解しながら、自分で対処する方法を学んでいただけるようにまとめてみました。

外反母趾の基準

「自分の足は外反母趾なのか」、あるいは「外反母趾であることは分かるが、どの程度の状態なのか」、治療活動をしていると患者さんの最初の質問はこの様な言葉から始まります。外反母趾に対処するに当たって、やはり外反母趾と診断される基準や外反母趾の進行程度を知る目安は必要です。

外反母趾とは足の親指(母趾といいます)が変形して小指(小趾=しょうし)側に曲がってしまっている状態をいいます。身体の中心線(正中線)を基準に外側へ曲がっていることを外反(がいはん)というため外反母趾という病名が付けられています。
外反母趾と診断するにあたって、どの程度曲がると外反母趾というのか、その指標が必要です。そこで医学的に外反母趾を判定するために、母趾の長軸線と、その母趾と関節している第1中足骨の長軸線とのなす角度(Hallux Valgus Angle:HVA)により判断されます 。正確な計測は、整形外科等の医療機関で行われます。その方法は、過重負荷(足に体重をかけた状態)時のレントゲン撮影にて、そのレントゲン画像を用いて計測します。通常は、その角度が15度以上を外反母趾と診断されます。また、簡易計測では足裏に角度計を当てて母趾の長軸と足裏の内側の長軸との角度で判断します。

外反母趾の画像

足の骨格略図
正常な足と外反母趾の骨格比較略図

外反母趾の測り方1
外反母趾角(HVA)による分類
 正常値  HV角9〜15゚
 軽度の外反母趾  HV角16゚〜20゚
 中程度の外反母趾  HV角20゚〜40゚
 重度の外反母趾  HV角40゚以上
外反母趾の測り方2

外反母趾の症状とその病態

外反母趾は、文字通り母趾が外反し、母趾の付け根が痛くなるというのが一般的に知られている症状といえます。例えば、外反母趾角(HVA)が20゚以上を中程度、40゚以上を重度などと分類することもありますが、実際にはこの角度だけでは語れない様々な症状や病態が見られます。
外反母趾の病態を詳しく述べると、事態はそんなに単純では無く、外反母趾を生じた部分を中心に周辺組織が複雑に変化していることが分かります。その変化の過程で痛み、しびれ、腫れ、発赤、骨隆起、胼胝(たこ)や魚の目、関節可動域制限など様々な症状が出現します。これらの症状が現れる原因がどのような状態にあるのかを考える上で、以下に一般的な外反母趾の症状と病態の変化を解説します。必ずしも全てがこれに当てはまる分けではないのですが、自分の外反母趾がどの程度進行しているかの目安になると思います。また、この病態を理解することで、外反母趾のケアや治療を選択するに際し、その方針をたてる目安になると考えます。
先ずは外反母趾の病態を表す略図をご覧ください。正常な状態から外反母趾に至るとき、骨格がどのように変化するかの概略が分かります。

外反母趾の病態1

外反母趾の病態2
外反母趾の病態3

外反母趾による神経炎の仕組み

1.第1段階の変化

母趾が外反しているとき、対照的に第1中足骨は内反し、さらに回内(内側方向へ回旋)します。
いわゆる母趾の付け根で第1中足骨の末端(骨頭)の下部には、母趾を動かす腱を誘導する二つの種子骨が有ります。第1中足骨が内反すると、この種子骨が本来あるべき位置から腱と共に外側(小趾側)にずれてしまいます。種子骨は第1中足骨の骨頭に下駄を履かせたように二つ一組で支えているのですが、ずれてしまったために内側の種子骨が骨頭の真下に位置することになります。また種子骨の近くを通る神経も一緒にずれるため、内側の固有足底趾神経が骨頭に圧迫されます。このために、母趾の付け根の底側(裏側)や内側に痛みや痺れ(しびれ)を感じるようになります。

2.第2段階の変化

母趾には 表側(背側)、裏側(底側)ともに複数の筋肉や腱が付着しています。外反母趾が進行すると、これらの筋肉や腱が全て外側に偏位します。外側に偏位した筋肉や腱は、さらに母趾を外反させる方向に引っ張るようになります。この段階になると、荷重歩行する度に母趾を外反方向へ引っ張るために、歩けば歩くほど外反母趾は悪化していきます。
外反した母趾は、手などで他動的に真っ直ぐ向くように起してあげることはできますが、手を離すと直ぐに元に戻ってしまいます。


外反母趾に影響する筋肉の作用

外反の程度が大きくなるため、中足骨頭(ちゅうそくこっとう:母趾の付け根のくるぶし部分)は内側に出っ張り、靴などに擦れて炎症を起しやすくなります。内側に出っ張った中足骨頭と皮下組織の間にある滑液包が炎症を起すと、いわゆるバニオン(滑液包炎・腱膜瘤)を生じます。バニオンを生じると母趾MTP内側が赤みを帯びて腫れ、痛みも強く感じます。また、第1中足骨と第2中足骨の骨頭の間が開いて、靱帯(深横中足靱帯)や腱(母趾内転筋横頭腱)が引っ張られるために、荷重が加わるとこの骨頭間に痛みが起こります。やがて深横中足靭帯は伸びて、間隔が広がり緩んだ中足は元に戻らない状態に変化します。

外反母趾とバニオンの症例

底側から見た中足骨頭を繋ぐ靭帯
外反母趾の症状1

3.第3段階の変化

変形はさらに進行し母趾はMTP関節で亜脱臼を起こしたり、第1中足骨の骨頭内側に生じる骨隆起が大きく目立つ状態になります。
母趾MTP関節は外反した状態で固まって可動性が著しく損なわれます。従って、手などを使って他動的に母趾を真っ直ぐにしようとしても真っ直ぐにはならなくなっています。また、母趾が第2趾の下に潜るようになり2趾は上に持ち上げられて、2趾の付け根の裏側と2趾の指節間関節の表側に胼胝(たこ)ができます。やがて2趾もMTP関節で背側に亜脱臼を起こすようになり、そのまま亜脱臼位で固まっていきます。 中足骨間の開きも大きくなり足の横アーチが低下して偏平化します。それと共に3趾や4趾も浮き上がるように縮こまり、5趾は母趾側へ内反します。また、足の縦アーチも低くなり顕著な偏平足になっています。 歩行の時に、足の指先は機能しなくなり、蹴り出すときは足の指の付け根に大きな負担が掛かるようになります。そのため、中足骨頭痛が母趾だけではなく、第2〜4中足骨頭部にも起こるようになります。また、血行の悪くなった爪は変形や変色を起す場合があります。

重度の外反母趾の一症例

外反母趾の原因

外反母趾の原因には、先天的要素と後天的要素があります。
先天的要素は、遺伝、体質(関節が変形しやすい・脆弱)、あるいは先天性疾患による骨・軟骨形成異常を原因とするものなどがあります。一方、後天的要素には、病的なもの(リウマチや変形性関節症など)、外傷を起因とするもの(骨折や脱臼など)、生活習慣や靴による影響、歩行バランスや姿勢によるものなどがあげられます。
外反母趾の最も適切な解決方法は、原因の除去といえます。従って原因を見極めることは、外反母趾を改善するための近道といえます。


<原因その1>
外反母趾を引き起こしやすい生活条件

 履物や靴下による影響
「履物やストッキングなどで足指が圧迫される。」 外反母趾の大半は、これが直接的原因と言えます。靴やサンダルなどの履物により指先が圧迫されるのは、だれでも注意するところですが、靴下やストッキングで圧迫されることについては、意外と無頓着なケースが多いようです。せめて自宅内では足指が圧迫されない靴下に履き替えるぐらいのことは最低限のケアであると考えます。
外反母趾や足趾の付け根の痛みを訴える患者の内、靴が原因と思われる方が多くを占めています。
例えば、「靴のサイズが合わない」が挙げられます。靴のサイズが小さくて指先が圧迫されて外反母趾を生じるのはもちろん、靴やサンダルなどの履物では、サイズがゆるすぎても、履物が脱げないように指を上げて履物を押さえたり、履物の中で足が前の方にずれて行き、指先が圧迫されるなどの弊害を生じます。  その他に「靴の形状が合わない」も原因の一つです。仕事でパンプスやハイヒールなどを履かなくてはならない場合や男性でも先のとがった靴や安全靴などを履かなくてはならない場合でも外反母趾を起こしやすい要因となります。

外反母趾の症状2

 スポーツによる影響
スポーツ種目の中で外反母趾の発症例が比較的多いのは、サッカー、剣道、マラソンです。
サッカーの場合は、走るのはもとより、急に止まって方向転換する、ボールを蹴る、ドリブルするなど足の指の付け根にかかる負担は他のスポーツとは比較できないほど 過酷なものと思われます。マラソンは、長時間走り続けるためにやはり足の負担が大きいのは、誰でも想像できると思います。
サッカーとマラソンの共通点は、靴を履いたまま長時間走り続けることです。走っている間は、足部の前の方に重心が乗ります。足趾の付け根、特に母趾球部分で強く蹴るときに、中足間隔(横幅・足幅)が広がり横アーチが下がります。また、足は靴の中で前方へ滑るために足の指先が詰まるように圧迫されます。この状態が長期間にわたり繰り返されると、中足の横アーチが広がり、母趾は外反します。また、母趾の付け根が圧迫されることによるバニオンの発症や、足底筋膜の炎症などを合併することもあります。シューズを履いて運動するスポーツでは、正しいスポーツシューズの履き方、足に合ったシューズの選択やフィッティングが外反母趾を予防するための第一歩といえます。
剣道の場合は、元々外反母趾を有する方や開張足、あるいは外反偏平足などがある方に起こりやすい傾向があります。この様な足部の変形を有する方が剣道の練習で繰り返し踏み込む動作をすると、横アーチを支える組織が疲労性炎症や疲労性損傷を起こして横アーチは低下し足幅が広がります。それと同時に母趾は外反し外反母趾の症状が出現します。

外反母趾と靴の影響

<原因その2>
外反母趾になりやすい体質的要素

同じ様にパンプスやヒールの高い靴を履いても、外反母趾になりやすい人となりにくい人がいます。また、パンプスなどを履かない子供や男性でも外反母趾になる人がいます。この原因の一つに体質的要素があげられます。また、骨格の形状が、個人により様々な形態的な変異があり、外反母趾になりやすい構造の存在が上げられます。

体質的要素には、遺伝や先天性疾患などの先天的なものと、リウマチなどの膠原病や代謝障害性の病気など の後天的なものがあります。特にリウマチを始めとした膠原病患者においては、骨や関節、あるいはそれらを取り巻く滑膜組織などが脆弱となり関節の炎症や変形を引き起こしやすくなっており、ほとんどの方が二次的障害として外反母趾を発症します。この様な体質的脆弱な状態では、靴やストッキングによる指先の圧迫、あるいは歩行バランスの異常による足部の過状な回内変異などの外力に対する抵抗性が劣るために、健康な人の数倍も外反母趾変形を起しやすい体質的条件下にあるといえます。
一方、骨格の形態的問題では、母趾が他趾と比較して過度に長く、靴やストッキングによる外反向きへの圧迫を受けやすい形状にあるもの、あるいは第1中足骨と内側楔状骨で形成される関節構造の変異の存在により、第1中足骨が内反しやすい関節面の形状を呈している場合に、外反母趾変形を生ずる可能性が高い構造的条件下にあるといえます。

外反母趾の誘因1

外反母趾の誘因2
外反母趾の誘因3

外反母趾の治療

外反母趾の治療は、保存療法と手術療法があります。手術療法については整形外科の専門となりますので整形外科のサイトを参照してください。ここでは、保存療法の概要を中心に解説することとします。また、解説の内容は、ページ上部の「外反母趾の症状とその病態」で解説した外反母趾の段階に沿ったものとし、それぞれの段階に適した保存療法を紹介します。

1.外反母趾第1段階の変化に対する保存療法

外反母趾角は比較的軽度で、外反した母趾を他動的に真っ直ぐに起すと簡単に外反角が正常な状態になる程度の段階では、まず靴の改善が優先されます。第1中足骨頭(母趾の付け根の骨)を圧迫したり、母趾の外反を強制される靴は当然避けるべきです。靴を選ぶときは足の長さ(足長)を実際に測り、プラス1.5cm前後の余裕を考慮してサイズを検討します。また、足の幅(足幅または足囲)も計測し、EE、EEEなどの靴の幅の適性も検討します。
靴のサイズは上記の計測により得られた適性サイズを上下3サイズぐらい用意してもらい履き比べてください。また、靴を履き比べるときは、踵(かかと)を靴にピッタリと着けて(つま先を上げて履くと良い)、つま先に若干の余裕があることを確認してください。また、靴の履き口がフィットして足が靴の中でつま先側にずれないかをチェックすることも大切です。
外反母趾の程度が比較的軽いケースに推奨する対処法として以下のような一例を紹介します。
外反母趾の場合、母趾と連結している第1中足骨は外反した母趾とは逆に内反・内旋しています。外反母趾を改善するためには、 この第1中足骨の内反・内旋を改善しなければなりません。そのためには靴の内側にウエッジ(傾斜板)を挿入し、第1中足骨の内反・内旋を防止します。また、靴を履いていないときは、伸縮包帯で中足部分を固定すると第1中足骨の内反を矯正する効果があります。包帯が上手く巻けない場合は、以下の画像にあるような中足部分が締まるタイプの外反母趾用靴下や外反母趾用サポーターで代用できます。

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2.外反母趾第2段階の変化に対する保存療法

外反母趾角は20゚を超え、明らかに外反変形があることが分かります。母趾を他動的に起す(手を使って真っすぐにする)と外反母趾角は若干改善されますが離すと直ぐに元に戻ってしまいます。
第1中足骨頭は内側に出っ張り、第1中足骨頭と第2中足骨頭の間は顕著に離れている状態です。この様な段階では、第1段階の対処法に加えて、母趾が外反した状態で固まってしまわないように運動療法を加える必要があります。
サポーターやテーピング、包帯療法では中足を締めるだけではなく、母趾を真っ直ぐに起すように矯正する方法が必要になります。靴を履く時はウエッジ矯正が欠かせません。包帯に内側ウエッジを挿入して固定したり、外反母趾用サポーターに内側ウエッジを組み合わせて使用するのも効果があります。
この段階になると、治療も長期戦となります。根気良く対応し、外反母趾の改善具合を定期的に計測・観察することも必要です。母趾MTP関節の変形性関節症(例えば強剛母趾)などが合併すると改善の見込みが極めて低くなるので、できるだけ早い段階でケアを行い、習慣付けることが重要です。

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3.外反母趾第3段階の変化に対する保存療法

外反母趾角は30゚を明らかに超え、母趾MTPは拘縮しているため、外反した母趾を他動的に真っ直ぐに起そうとしても、変形した関節は固くなっており、ほとんど可動性が無いために外反角は改善されません。
第1中足骨頭(母趾の付け根の骨)は膨隆し内側に大きく突出しています。また、母趾と第2趾が重なり、足裏には厚い胼胝や魚の目が出来ている場合もあります。この段階になると保存療法による矯正では外反角は改善できません。ただし、運動療法を長期間継続することで、可動域が広がる症例もあります。このように可動域(母趾の内反方向への運動可動性)が改善されるならば、外反角は若干の改善が見られるケースもありますが、あまり大きな期待は持てません。保存療法の目的は、疼痛や炎症の改善と、さらなる悪化の予防に主眼が置かれます。この段階になると根本的な治療としては整形外科による手術が必要となります。


コラム担当秋元接骨院が推奨する外反母趾の対策方法

1.あれこれ始める前に医師の診察を受けましょう

外反母趾の治療には、手術、装具療法、体操など理学療法、テーピングなどがあります。治療方法を選択する上で重要なのは、外反母趾の程度や状態を正しく把握することです。そのためには、整形外科や足の専門外来などで、医師の診察とアドバイスを受けましょう。病院へ行くことに不安がある方や、どのような病院に行けば良いか分からないなど、ご心配の方はユウキネットショップ推奨の治療院にてご相談ください。
外反母趾の程度が軽度、あるいは中程度の中でも比較的軽い場合は、装具や足指体操、テーピング、靴の改善などのメンテナンスを行うことで回復が期待できます。
中程度以上の比較的進行した外反母趾では、装具やテーピングなど手術以外の方法によるメンテナンスの場合、その角度が現状より僅かに改善されることもありますが、あまり期待はできません。生活条件や症状などの具合により手術を含めた対策を検討する必要があります。手術によるメリットとデメリットなど医師の説明を充分に聞いた上で治療方法を選択しましょう。尚、手術以外の方法を選択する場合は、痛みや歩行バランスなど諸症状の改善と外反母趾の進行予防のためのメンテナンスと考えてください。

2.外反母趾になった原因を考えましょう

外反母趾の治療やメンテナンスを行う前に、自分がなぜ外反母趾になったのか、その原因をしっかり把握しなければなりません。原因が分からないまま治療などを行っても、その原因が排除されない限り症状の改善は見込めません。また、進行を食い止め予防をするためにも原因の除去が最も大切な対策となります。例えば、靴が合わないのがきっかけで外反母趾になったとします。極端な事をいいますと、手術までして治したのに、また合わない靴を履き続ける事で外反母趾は再発してしまうのです。「外反母趾を治して、かわいい靴やかっこいい靴を履いて思いっきりおしゃれをしたい」などと考えて、思い切って手術を受け、せっかく外反母趾を治しても、このような考えでは、再発するのは目に見えています。「外反母趾の再発は、手術をした医師が腕が悪いからだ」と言って、医師にやつあたりしてもその先生がかわいそうです。外反母趾を引き起こす原因は様々なので、自己判断だけではとても危険です。明らかにこれが原因だと分かっている場合はともかく、医師やその他の専門家に相談したり、家族など生活を共にしている人の意見を聞くことも大切です。そして、その原因がある程度分かったら正しい対処方法も見えてきます。


3.外反母趾に対する日頃のメンテナンス

(1)外出後に痛みがでたらまずアイシング

外出中に足指などに負担をかけて炎症を起こしたら、発赤や腫れ、あるいは痛みの症状が出現します。母趾の付け根に炎症が起きているときは、関節軟骨や関節周囲の靱帯、滑膜などにダメージを受けている状態です。この繰り返しで関節の変形や周囲組織の病態悪化が進行していきます。アイシングは炎症を鎮め、病態の悪化を予防する効果があります。従って、痛みや炎症が起こったら、放置せずにアイシングをしてあげてください。アイスパックや保冷剤をタオルやハンカチでくるんで、痛い部分を中心に約15分冷やしてください。アイシングの代わりに冷湿布を貼るのも有効です。 また、アイシングや湿布をするときに、包帯で固定をするとさらに効果があります。アイシングの際に包帯をするときは、包帯を巻いた上から直接アイスパックなどを当ててください。また、湿布をする場合は、湿布を先に貼り、その上から包帯を巻いてください。

外反母趾のケア1

(2)指間パッドで足指をストレッチ

足の爪にマニキュアを塗るときなどに使う指の間に挟むパッドです。ドラッグストアや東急ハンズ、ロフトなどの雑貨を取り扱う専門店やデパートなどでも売っています。指間パッドを装着し、足の指をしっかり広げましょう。また、この時に、マジックベルトや伸縮包帯などで中足・足根部分を締めるとさらに効果が上がります。
外反母趾は、母趾が外反するだけではなく、第1中足骨の内反・回内も生じています。その結果、足指の付け根の足幅が広がるわけです。従って中足・足根部分を引き締めることで外反した母趾も含めて足指は開き、緩んで広がった中足が引き締まります。窮屈な靴や合わない靴を一日履いたりなどで、足指に負担をかけたときは、特にこのメンテナンスを行ってください。
時間は約20分から30分ぐらいが目安です。つけっぱなしで長時間放置するのは、痛みや痺れなどの原因となるので、この目安時間を厳守してください。

外反母趾のケア2

(3)脚や足指の疲労の除去

外反母趾や開張足、浮き指など足のトラブルがあると、足の本来の緩衝機能が発揮できないため、足や脚部は疲れが溜まりやすく、筋肉や関節がこわばります。そこで日常のケアとして指圧やマッサージなどで足や脚部の疲労を取り、こわばった組織をほぐしましょう。こわばったり、むくんだりしたまま放置すると歩行バランスがくずれて、外反母趾の悪化の原因となってしまいます。特に足裏の中足骨頭部、土踏まず、あるいは足指、ふくらはぎやアキレス腱、すねの外側などの組織が硬くなりやすい部分なので、指圧、マッサージ、ストレッチなどを併用してほぐすことで、足の代謝が高まり、足の動きも改善されます。

外反母趾のケア3

(4)就寝時に緩んだ横アーチの矯正

就寝時にマジックバンドや伸縮性の包帯などで中足部分を締めると、外反母趾や開張足などのメンテナンスになります。
整形外科の青木孝文先生が推奨している方法では、5cm幅の伸縮性包帯で母趾の付け根と小趾の付け根のふくらみから中足(足の甲)の部分にかけてやや強めに4〜5回ほど巻くとの事。あまり強く巻くと痛みや違和感でつらくなるので、強すぎず弱すぎず、圧迫感をわずかに感じる程度の締め具合を練習して、巻き加減を修得する必要があります。これを就寝中だけ、毎日行うことで外反母趾などによる諸症状が改善した症例があります。
尚、就寝中に指間パッドなどを使ったケアは足指の神経や血管を長時間圧迫することによる神経障害や血行障害が起こるので行わないでください。就寝中は包帯やマジックバンドで足の甲を軽く締めるだけで十分な効果が得られます。

外反母趾のケア4

(5)運動時は靴のフィッティングに注意

運動中は日常生活動作よりも動きが激しく足にも推進力や加速力が加わるために靴の中で足が前方へ滑りやすくなります。靴の中で足が前方へ滑っていくと、当然足趾は靴の先端部分で圧迫されてしまいます。このまま放置していると母趾の付け根の痛み、しびれ、足裏の痛み、タコやウオノメの痛みなど足の姿勢不良によるトラブルが発生し、外反母趾を悪化させる大きな要因となります。
スポーツシューズやウォーキングシューズを選ぶときは、以下の事項に注意してください。

 足の大きさに適した靴を選ぶ
足の長さ(足長)を実測し、その長さにプラス1〜1.5cmの靴が適性です。足の長さは踵の最後端から足指の最先端(一般的に母趾か2趾のどちらか長い方の先端)までを測ります。自分で上手く測れない場合は靴店で測ってもらいましょう。その時に足の横幅(足幅)や周径(足囲)も測りましょう。足趾の付け根の中足骨頭の位置でメジャーを使って測ります。足長と足囲が分かれば靴の適性サイズがある程度特定できます。

 安定性のある靴を選ぶ
靴を床に置いて踵の中心部分を手の指で上から軽く押してみます。その時に靴が左右にぐらつかず安定しているものを選びましょう。靴の安定性が悪いとウォーキングや運動時に足が不安定となり、ケガの原因となることがあります。また足が不安定な分、身体で安定性を保とうとすると身体に余計な力が入り運動パフォーマンスが低下します。

 靴の履き口や踵がフィットしているものを選ぶ
靴の履き口や踵(かかと)周りがきついと当然ながら足の痛みや靴擦れの原因となります。また逆に緩くても靴の中で足が前方へ滑り、足指を圧迫することになります。足指が靴の先に押し付けられて曲がると外反母趾が悪化することはもとより、足裏の筋肉や腱膜が引っ張られて足底腱膜炎の原因になる他、踵の痛みや靴ずれの原因にもなります。

 靴ひもでしっかり足をホールドする
靴ひもを縛るときは踵を地面に着け、一方でつま先は浮かせて上に向けた姿勢にし、踵を靴のヒール部分にしっかり密着します。その姿勢のまま靴ひもをしっかり縛ります。靴ひもの締め具合は指を一本挿入すると何とか挿入できる程度のわずかな余裕を持たせます。あまり強く締めすぎると足の甲や足首近くで痛みや腱鞘炎などを起す原因となるので注意しましょう。
このように靴の履き方が正しく出来て、靴のサイズやフィッティングが正しければ、つま先部分は1cm〜1.5cmの余裕ができます。また足首や足の甲の部分でしっかりホールドされていると運動中も靴の中で足が前方へ滑るのを防ぎ、外反母趾の痛みなど足のトラブルを起しにくくなります。

外反母趾と靴の影響
正しい靴の履き方

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