母趾(足の親指)の付け根の骨が出っ張り、腫れて痛くなる。あるいは歩行時の踏み返し時や、しゃがむなどの動作で母趾が反ると母趾の付け根の上面に痛みが出る障害があります。この様な症状が起こる疾患に強剛母趾(きょうごうぼし)と呼ばれるものがあります。このページでは強剛母趾の基本情報と対処方法などについて解説します。
コラム担当:秋元接骨院院長・柔道整復師・
フットアジャストセラピスト 秋元 英俊
画像提供元:秋元接骨院
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強剛母趾は母趾の付け根の関節が変形を起こす障害です。変形といっても外反母趾の様に母趾が曲がるのでは無く、関節の隙間が狭くなり、関節端の上面が棘の様に隆起する変形を起こします。この関節の変形により母趾の可動域が狭くなり、母趾が上に反る時に関節面が衝突して痛みや炎症が起こります。
強剛母趾の特徴的症状は、上記に示した通り歩行時の踏み返しによる痛みや、母趾が上に反る(背屈)時の痛み、母趾の付け根の関節(MTP関節)の上面(背側)の骨性隆起と関節の腫れです。
強剛母趾は母趾の付け根が腫れて痛みが出るため、外反母趾や痛風などと間違われることが多い疾患です。強剛母趾は母趾の付け根の関節の背側に骨性隆起が見られることが特徴です。一方の外反母趾は母趾が足の小指の方に向かって外反していることが特徴です。また痛風は、その腫れが赤みを帯びたびまん性の腫れで、外反母趾や強剛母趾の様に限局した腫れではありません。その痛みも外反母趾は靴による圧迫や歩行時の痛み、強剛母趾は母趾が背屈する時の痛みが特徴ですが、痛風は安静時でも激しい痛みがあることが特徴です。
強剛母趾の診察や治療は整形外科で行われます。一般的に治療初期は保存療法で症状が改善するか様子を見ます。
保存療法は、インソールやテーピングなどで母趾が反らない様に母趾MTP関節の背屈可動域を制限する方法と、消炎鎮痛剤の処方、ステロイド注射やヒアルロン酸ナトリウム注射(アルツディスポ関節注)などを施行して経過を観察します。比較的症状が軽い場合や保存療法で症状が軽快する場合は、母趾の運動性の改善や再発予防のためのリハビリを行う場合もあります。
保存療法を行っても痛みが軽減されない、あるいは症状が悪化するケースでは手術が選択されます。
手術は変形隆起した骨棘を切除する方法(骨棘切除術、カイレクトミー手術)と、MTP関節を動かない様に固定する方法(関節固定術)、あるいは人工関節置換術などが病態や症状により選択されます。
強剛母趾になりやすい足には、扁平足や浮き指、エジプト型の足型などで見られる長い母趾、外反足などが挙げられます。この様な足の形状をしている場合は、歩行時に母趾の付け根に負担が掛かりやすい傾向があり、痛みの増悪や強剛母趾の悪化の原因の一つとなります。これらの傾向を改善する方法として、足の内側縦アーチのサポートが有効です。
市販のインソールでは、ソルボDSIS機能のあるタイプがお勧めです。サポーターとしてはソルボタテアーチサポーターがお勧めです。
インソールやサポーターの入手が困難な場合は包帯で足の縦アーチと母趾MTP関節の保護を行うことでサポート効果が得られます。また、外反母趾用のサポーターで固定タイプのものは強剛母趾のサポーターとしても活用できます。
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