カサハラ式足裏バランステーピングは、外反母趾研究家笠原巌氏が提唱するカサハラ理論に基づいて、開発されたテーピング手法です。
カサハラ理論では、足のアンバランスは足の中足靭帯の緩みによるアーチ構造の破たんを起因とすることに着目し、カサハラ理論で言うところの支点と作用点を押さえることで、足のアーチ構造を改善し、足のバランスを取り戻すことを基本としています。従って、カサハラ式足裏バランステーピングでは、アーチ構造を支える支点と作用点をテーピングにより押さえながら固定することが基本となります。
このテーピング手法は、外反母趾、浮き指などの症状改善に実績があるので、外反母趾テーピングの代表的なものとしてここにその手法を紹介します。尚、PDF形式の図解も用意していますので、マニュアルをプリントアウトして利用したい方や、マニュアルをメールに添付して知り合いに送付したい方は以下のカサハラ式足裏バランステーピングマニュアルPDFファイルをご利用ください。
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目次
カサハラ式足裏バランステーピングで使用するパーツ
カサハラ式足裏バランステーピングの貼り方
カサハラ式テーピング応用編
足関節・距骨下関節をサポートするヒールロック
足裏の痛み・浮き指に対するサポートテープ
カサハラ式足裏バランステーピング専用のテープを用意してください。テープの幅5cm(50mm表示での販売が多い)の伸縮性テープで代用可能です。
専用テープを各パーツに切り揃えて用意します。これで片足分です。面倒な方はカット済みテープを利用して下さい。
パーツの紹介その1:親指テープ
通常、成人女性で長さ約15cm程度が必要です。その内の長さ約13cmほどを3等分します。
パーツの紹介その2:小指テープ
通常、成人女性で長さ約10cm。幅は片側2cm、反対側3cmの縦に細長い台形にカット。幅2cmの側から縦に約8cmの切れ込みを入れて2等分にします。
パーツの紹介その3:足裏横テープ
通常、成人女性で長さ約20cm。両端を幅3cm程度、中央約4cmを残して斜めに切り、横長の台形をした形状にします。
パーツの紹介その4:基本アーチテープ
通常、成人女性で長さ23cm。5cm幅のままので2枚用意します。
カサハラ式足裏バランステープは、親指テープ、小指テープ、足裏横テープ、基本アーチテープの5つのパーツから成ります。まず始めは親指テープから貼り、小指テープ→足裏横テープ→基本アーチテープの順に進めていきます。
親指を内側へ開いた状態とし、親指側の側面からテープをあて、かかと側から貼り始める。 この時、やや強めに引っ張りながら3本に分かれた部分の真ん中のテープを親指の付け根ぐらいまで貼る。
親指の付け根まで貼った真ん中のテープをややテンションを緩めてから、親指の側面から先端を通り、指の側面を一周する感じで貼る。テープのテンション(引っ張り具合)は、指の付け根まではやや強めとし、指の先端部分のテンションは軽めにする
。
3本に分かれている内の上側のテープを先ほど貼った真ん中のテープに重ねるように貼る。この上側のテープも真ん中のテープと同様に、親指の付け根までやや強めのテンションで引っ張って貼り、指の部分を貼るときはテンションを緩めて貼る。
次に3本に分かれている下側のテープを先に貼った2本のテープに対して、クロスするように母趾の関節を背面から底面に向かって貼る。
そのまま指の関節を巻き付けるようにテープを貼り、先に貼ったテープの止め(アンカー)にする。これで親指テープのできあがり。
小指側の面からテープをあてる。テープの切れ込み部分が小指の付け根の膨らみよりも後ろ寄りになるように、テープを貼る位置を調節する。
かかと側の端から貼り始める。2つに分かれた内の上側のテープをやや強めに引っ張りながら小指の付け根まで貼る。
小指の付け根まで貼った上側のテープをテンションを緩めて小指の下側からぐるりと小指の関節を巻き付けるように貼る。
続いて下側のテープを同様に小指の付け根までやや引っ張りながら貼る。
引き続き下側のテープを小指の関節のところまで貼ったら、上側のテープとは逆に向きを変えて、上から下へ巻き付けるように貼る。
これで小指テープ完成。この様に親指テープと小指テープを貼ると足指はやや開いた状態になります。引き続き足裏横テープを貼ります。
台形をした足裏横テープを用います。台紙を剥がして足の裏側で指の付け根に近い位置に貼ります。
最初に足裏の指の付け根辺りから貼り始める。この時にテープを左右にしっかり引っ張りながら、皮膚にしわが寄らないようにテンションをかけたまま貼る。
足裏部分にテープを貼り着けたら、左右からそれぞれテープを巻き付けるように足の甲へ貼る。足の甲へ貼るときはテンションを緩めて貼ると足の裏側だけテンションが掛かるため足の横アーチを再現するようなサポートになる。
足裏アーチテープ完成。指先は開き開き、足の横アーチも再構築される。引き続き基本アーチテープを貼ってアーチのサポートを強化する。
足裏アーチテープを貼った上から、基本アーチテープを足の甲の真ん中より貼り始め、足裏に向かって貼り進む。貼り始めはややテンション緩めに貼る。
足の裏側を貼るときは、やや強めに引っ張りながら貼る。但し、引っ張って貼ると皮膚がしわになり、その部分が痛くなることがあるので皺を伸ばしながら丁寧に貼る。
基本アーチテープ1枚目の完成。引き続き2枚目の基本アーチテープを1枚目の位置からテープの幅の半分程度後方の位置に貼る。
2枚目の基本アーチテープは1枚目よりも後ろに半分ずらした位置で、1枚目と同様に足の甲はテンション緩め、足の裏はテンション強めで、皮膚にしわができないように注意しながら巻き付けるように貼る。
基本アーチテープ2枚目完成これでカサハラ式バランステーピング完成。
アーチをしっかり補強する場合は、基本アーチテープの上から、さらに伸縮しない固定用のテープでしっかり巻く。
外反母趾や内反小趾のある方は、足の内反や外反偏位を生じていることがほとんどです。足の内反や外反は足関節や足関節の下部の距骨下関節(きょこつかかんせつ)でズレを生じているために起こる現象です。
例えば外反母趾に多いのは足の外反や外反偏平足です。このアライメント異常を放置すると外反母趾の悪化につながります。また、内反小趾に多いのが足の内反やハイアーチです。これはヒールの高い靴を履く方に多く見られる現象で、放置すると内反小趾の悪化につながります。これらのアライメント異常を補正する方法にインソールやヒールウエッジといった足底板療法があります。これらと共にテーピングによるサポートを組み合わせることで効果を上げることができます。こちらで紹介する方法も足関節や距骨下関節のアライメント異常の予防としてオススメするサポートテーピングです。使用するテープは足裏バランステーピング専用テープを長さ20cmにカットしたものを2枚と、長さ25cmにカットしたものを1枚です。
幅5cmのテープを長さ20cmほどにカットしたテープを2枚と25cmほどにカットしたテープを1枚使用する。
最初は長さ20cmのテープで、足首の内くるぶしよりもやや後上方のアキレス腱部分から貼りはじめる。
アキレス腱から外くるぶしの後ろ側を通ってカカトの足底方向へ斜めに引っ張りながら貼る。
カカトの底面を通り、そのまま足の甲へと斜めに上行するように貼り付ける。
これで1枚目は終了!
2枚目は1枚目と同じ長さのテープを使用し、1枚目のテープと交差するように、外くるぶし後上方のアキレス腱部分から貼りはじめる。
アキレス腱から内くるぶしの後ろ側を通ってカカトの足底方向へ斜めに引っ張りながら貼る。
カカトの底面を通って、そのまま足の甲へと斜めに上行するように貼り付ける。
これで2枚目完成!
長さ25cmのテープで足首を一周するように貼り、ヒールロックしたテープが剥がれない様に止める。
最後に足裏バランステーピングを貼って完成。
足裏バランステーピング+ヒールロックを内側から見た状態。
足裏バランステーピング+ヒールロックを外側から見た状態。
浮き指(指上げ足)やハンマートゥなど、足指が浮き上がるタイプの足のトラブルがある場合、あるいは中足骨頭痛や足底筋膜炎など足裏の痛みがある場合のサポートとして、足裏バランステーピングに加える補強テーピングのテクニックです。この補強テープには、足裏バランステーピング専用テープを長さ23cm程度にカットしたものを2枚使用します。
23cm程度にカットしたテープ2枚の内の1枚を足裏の中足骨頭部分(足指の付け根辺り)からカカトへ向かって引っ張りながら貼る。この時に足指を下に下げるように抑えることと、皮膚にシワができないように注意しながら貼ることが重要。
足裏テープを貼った状態。
このテープのポイントは、前の画像のように足指を下(足底方向)に向けた状態にして貼ること。
浮き上がった足指を下げることが第1目的で、さらに足底筋膜をサポートする役割も有る。
もう1枚のテープの真ん中をカカト後面の中心に当てて、内側に向かう部分を足の土踏まずに向かってやや斜めに引っ張りながら貼る。
カカトテープの内側を貼った状態。
画像のように土踏まずの方へやや斜めに貼ることがポイント。
カカトテープの外側も内側と同様に土踏まずに向かって、やや斜めに引っ張りながら貼る。
カカトテープの外側を貼った状態。
画像のようにやや斜め下方へ貼るのがポイント。
足裏テープとカカトテープを貼り終えたら、その上から足裏バランステーピングを貼る。
足裏テープとカカトテープで補強した足裏バランステーピングを外側から見た画像。
もっと簡単な外反母趾・内反小趾対応テーピングは「簡単!外反母趾テーピング」のページも参照してください。