「足の横幅が広がっている」、「普通の靴では窮屈で3Eや4Eなど幅の広い靴しか履けない」など、このような症状を感じる方は開張足(かいちょうそく)かもしれません。
開張足は外反母趾や浮き指など足の障害に伴って起こるケースが多くを占めます。開張足を改善することは、それに伴う足のトラブルの改善を促進するのに役立ちます。
このページでは開張足の基本情報と自分でできる対策を中心に解説します。
コラム担当:秋元接骨院院長・柔道整復師・
フットアジャストセラピスト 秋元 英俊
画像提供元:秋元接骨院
※画像や内容の無断転用を禁じます。
開張足(かいちょうそく)は、足の横アーチが扁平化して足の甲(中足〜前足)が扇状に広がった状態をいいます。
医学的には足の5本の中足骨の開張角(第1中足骨の長軸と第5中足骨の長軸とで成す角度)で定義されており、正常平均値が25度、30度を超えると開張足とされています。
開張足は第1中足骨の長軸と第5中足骨の長軸との角度が30度以上に開いた状態をいいます。
中足骨の開張度(足の横幅の広がり)を計測する場合、下図のように第1中足骨の長軸線と第5中足骨の長軸線とのなす角度をレントゲンやフットルック(足裏測定装置)、専用の角度計などを利用して計測します。
レントゲンや専用角度計による計測の正常値の平均は25度とされています。フットルックでは足の外縁で計測するため数値が異なり、フットルックのFICK角で概ね15度超を開張足としています。
開張足の主な症状は足の横アーチの扁平化と足幅の増大です。その結果、母趾や小趾の付け根(中足骨頭)のいわゆる「くるぶし」が靴に擦れてバニオンやバニオネットと言われる炎症、あるいは足裏の胼胝や魚の目、足指のしびれや神経痛(モートン神経症など)、足指の付け根の痛み(中足骨骨頭痛)などを起こすことがあります。また、開張足ではパンプスなどの先の尖った靴を履くことで外反母趾と内反小趾を同時に発症するケースも多く見られます。
浮き指、外反母趾、内反小趾、外反扁平足などに伴って発生するものと、中足骨骨折やリスフラン関節の靭帯損傷、あるいはリスフラン関節の脱臼などの外傷後に発生するものがあります。また、先天的な開張足あるいは成長期の歩行動作異常に伴う後天的変化などが原因と考えられる症例も見られます。
成長期の歩行動作異常とは、裸足で歩く、踏ん張るなどの動作不足による足指機能の発育不全と考えます。足指に力が入らず足の裏と踵だけで歩いていると、足のアーチを支持する筋肉が弱くなり、足の横幅が広がって靭帯が緩んでしまい開張足や扁平足に至ります。また、足指は飾りのようで機能せずフットルックやフットプリントで足の接地バランスを観察すると足指がほとんど写らない浮き指状態になっています。
女性の場合は出産時期に全身の靭帯が緩む現象が起こります。これは子どもを産むことにとっては大切な身体の変化ではありますが、その時に足の靭帯の緩みを原因とした開張足を発症することがあります。
開張足の場合、そのほとんどが外反母趾や浮指などの原因疾患に伴い起こります。従ってその原因疾患の治療を優先することが原則です。その原則を踏まえた上で、このページでは開張足に直接効果を及ぼす改善法のみ紹介します。
尚、リスフラン関節の損傷や中足骨の脱臼、骨折などの外傷に続発して起こるものや、リウマチ、変形性関節症などの変形性疾患を原因として起こるものでは、整形外科や形成外科による手術を受けなければ治すことができません。
原因疾患や外傷がある場合は専門医の指導に従ってください。
また、成長期の足指機能の発達不足や出産期の靭帯の緩みにより起こるものでは、タオルギャザーなどのリハビリによる改善が重要となります。
上画像のソルボDSIS3軸アーチパッドは、開張足や浮き指の改善に非常に効果があります。アーチパッド単体を活用するには専門的な知識と技術が必要なのでNPO法人オーソティックスソサエティーの講習を受けた施術家や、これらの足底板を活用した治療を施行している施術所で装着していもらうことを勧めます。
自分でこのようなパッドを活用するならソルボのDSIS内蔵インソールが便利です。
上画像の様に包帯療法や専用サポーターによる固定は実績のある改善法ではありますが、日常生活では不便と思われる方は、広がった中足を引き締める機能が内蔵された簡易サポーターや機能的靴下が便利です。矯正効果はやや弱い感じはしますが手軽に着脱できる点で持続的なケアとして活用できるのが利点です。
開張足のリハビリとして、足のアーチを改善する効果があるタオルギャザーとつま先立運動があります。
タオルギャザーは足指でタオルを手繰る運動で、足指を曲げる筋肉を動かします。足指を曲げる筋肉には、足の縦アーチと横アーチを支える作用のある筋肉が活動するので、開張足のリハビリとして非常に有効です。
つま先立運動では、ふくらはぎの深部にあるインナーマッスルで足の縦アーチを支える後脛骨筋と、足指を曲げる運動+足の縦アーチを支える作用のある長母趾屈筋、および長趾屈筋を動かします。この運動により足のアーチを支える力を強化する効果があります。また、つま先立ち運動では、足指と足指の付け根で身体を支える姿勢となります。従って、足指で地面を捉える動作も同時に身につくメリットもあります。足指と足指の付け根両方でしっかり支えると、つま先立ち姿勢でふらつくこと無く立っていられますが、足指に力が入っていないとつま先立ちをしようとしても身体がふらついて立っていられなくなります。つま先立ち運動を根気よく行うことで足の接地バランスが整う効果が得られるのでタオルギャザーと共におすすめのリハビリ運動といえます。
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