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秋元接骨院院長の足と健康コラム Vol.10

こどものかかとの痛み踵骨骨端症・シーバー病

小学生ぐらいの子どもで運動中や運動後にかかとの痛みを訴えるケースがあります。このかかとの痛みを起こす疾患をシーバー病、もしくはセーバー病、あるいは踵骨骨端症といいます。
シーバー病(Sever's diseaes)は踵骨(しょうこつ:かかとのほね)の成長軟骨部分で起こる炎症で、7〜12歳の学童期に多く見られる障害です。特に、バスケットボールやサッカーなどのスポーツによる負担で発症します。また、特にスポーツをしていなくても遊戯中にたくさん走ったり、ジャンプを繰り返したりすることで発症する症例も見られます。このシーバー病は、1912年にアメリカの整形外科医シーバー (Sever James Warren)によって踵骨の骨端炎(apophysitis of the os calcis)として報告され、シーバー病と名付けられました。日本ではシーバー病、踵骨骨端症(しょうこつこったんしょう)の何れかの病名で呼ばれています。

コラム担当:秋元接骨院院長・柔道整復師・
フットアジャストセラピスト  秋元 英俊
画像提供元:秋元接骨院
※画像や内容の無断転用を禁じます。


こどものかかとの骨の構造

学童期のかかとの骨(踵骨)は、かかとの骨本体と後端にある骨端核を含む成長軟骨で構成されています。レントゲンで見ると、かかとの骨の後端に破片のような小さな骨、あるいはかかとの骨にひびが入っているような透明な線が見えます。この破片のような小さな骨や透明な線で隔てられた後端の骨を骨核(こつかく)あるいは骨端核(こったんかく)といいます。この骨端核の周囲にはレントゲンでは明確に写りませんが成長軟骨が存在します。
骨端核を中心に成長軟骨から骨が作られて骨端核は徐々に大きくなり、最終的にかかとの骨の本体と癒合して完成に至ります。

9歳児の踵のX線画像
成人の踵のX線画像

踵骨の骨端核は成長軟骨の中に1個ないし2個程度の小さな骨核として出現します。やがてその小さな骨核が成長して大きな骨端核となります。骨端核と踵骨の間は骨端線と呼ばれる成長軟骨層で隔てられています。この成長軟骨層で骨が新生されて踵骨は徐々に大きく成長していきます。
踵骨の成長が終わると、この骨端線は消失(閉鎖)して完成した踵骨となります。
骨端核の形状は個人により様々で、例えば下の図のように1つの大きな骨核を形成するものや2つに分節した状態で存在するものがあります。

成長期のかかとの骨端核
成長期のかかとの分節化した骨端核

骨端線には血管が分布していません。骨端線の栄養は骨端核や踵骨本体から浸透圧により取り込んでいます。
骨端線に損傷を起こすと栄養供給が遮断されてしまうことがあります。その場合、その損傷個所が変性・壊死を生じて炎症を起こしてしまいます。

シーバー病の症状

症状は、踵の後方の内側や外側に圧痛があり、運動により痛みが悪化し、安静により痛みが鎮まります。
炎症が悪化すると夜間の安静時でも痛みを訴えることがあります。また、痛みを避けるために患肢をつま先立ちにした跛行が見られることもあります。

シーバー病の圧痛点
シーバー病の圧痛点

シーバー病の原因と病態

シーバー病の原因は、運動時のアキレス腱の反復・持続する張力が踵骨の骨端線部分に働いて、骨端軟骨の微細な損傷を起こし、その結果血流障害による骨端核の変性・壊死や、骨軟骨炎を生じるとされています。これが一般的に考えられているシーバー病の発生原因です。しかし、来院する患者を観察すると、外反足や扁平足などの足のアライメント異常を有する子供が多いのが特徴です。また、足底板やヒールウエッジ、ヒールカップなどで足のアライメントを補正すると症状が改善されます。このことからアキレス腱の牽引力だけではなく、アライメント異常と荷重による骨端線部分の外反ねじれの剪断力や踵骨脂肪体の偏りによる衝撃緩衝性の低下、扁平足による衝撃緩衝性の低下、浮き指やアキレス腱の柔軟性不足によるヒールストライク(踵重心による負担)などの構造的負担が加わることで起こる骨端線の損傷が考えられます。
前者のようにアキレス腱の張力が起因で発症するシーバー病はジャンプやダッシュを繰り返すサッカーやバスケットボールなどの運動を活発に行うこどもに起こります。
一方、後者のように外反足や扁平足などのアライメント異常を起因とする場合は活発に運動をするこどもに限らず発症することがあります。扁平足や外反足などのアライメント異常があると足指などの前足部分で蹴る力が弱いため、アキレス腱や踵に負担が掛かりやすくなり、簡単な運動でもシーバー病を発症することがあります。従って、治療法を選択する上でシーバー病を発症した要因をしっかり見極めることが大切となります。

シーバー病の原因 アキレス腱の張力
シーバー病の原因 外反足や扁平足

正常な足の姿勢と外反足の比較
正常な足の姿勢と内反足の比較

下の画像の様に、子どもの足は生まれてからしばらくの間は扁平足かつ外反足の状態です。かかとの成長軟骨が完成された骨に近づくに連れて、足のアーチ構造も構築されて正常なアライメントに変化していきます。従って、成長過程にある小学生頃の子どもは、幼児期よりも運動量が増える割に足のアーチの構築が不十分で、かかとの骨も強度の弱い成長軟骨が存在するために骨端症(こったんしょう)を起こしやすい時期にあります。

幼児の外反足
幼児の扁平足

シーバー病の治療と予防

強い痛みがある場合は踵の下にクッションパッドや踵を包むヒールカップなどを使用して包帯固定を施行します。
また、場合によっては松葉杖などで患肢の免荷を施し、局所の安静をはかります。
痛みの程度が軽い場合は踵の姿勢をやや高くするインソールや踵を包むヒールカップを靴に装着するか、それらが内蔵されたサポーターを利用して患部をサポートします。その他では、踵を包むように施行するテーピングも効果があります。

かかとのテーピング

外反足や扁平足などのアライメント異常を有する場合は、ヒールウエッジ(アライメントを補正するために靴に挿入する傾斜板で、外反足ではかかとの内側へ、内反足ではかかとの外側へ装着)やアーチパッド(足の縦アーチを支持するパッド)などを靴に装着して足の姿勢を補正します。
痛みが消失したら運動を再開しても大丈夫ですが、アライメント異常のある子供の場合は、運動用の靴に補正用の装具を装着し続けることを指導します。また、扁平足や浮き指などで足や足指の筋力低下がみられる場合はタオルギャザー(足指でタオルを手繰り寄せる運動)やカーフレイズ(つま先立運動:つま先立ちで踵の上げ下げを行う運動)で、足指の筋力や足のアーチを支える後脛骨筋・長母指屈筋などを強化することも大切です。
シーバー病は再発も多い障害ですが、骨端線が閉鎖する時期がくれば自然と解消し、後遺症も残さないので予後はとても良好です。

シーバー病の治療 ヒールウェッジ
シーバー病の治療 外反足の補正

かかとのサポーターは様々なメーカーで商品を出しています。シーバー病の場合、かかとを保護する衝撃吸収材の入ったサポーターが便利です。また、扁平足や外反足などのアライメント異常がある場合は、足のアライメントを補正するウェッジヒールタイプのサポーターや靴の中に挿入する簡易足底板(ヒールウェッジパッド)などがあります。
この様なアライメント補正を行う場合は、シーバー病を発症した側だけでは無く、両足同時に補正することをお勧めします。外反足や扁平足などの足のアライメント異常は、程度の差はありますが、ほとんどの場合両足ともに同様のアライメント異常を生じています。従って両足同時に補正することでバランスの良い状態で運動することが可能になります。
尚、扁平足や外反足の場合はヒールウェッジパッドを内側に装着してください。また、逆にO脚や内反足、ハイアーチの場合はヒールウェッジパッドを外側に装着します。

シーバー病の踵補正対応サポーター
シーバー病対応サポーター

浮き指、扁平足、開張足などの足のアライメント異常があると、地面をしっかりとらえる足力が弱く、足のアーチ機能も弱いため、かかとに負担が掛かりやすくシーバー病の発症を繰り返すケースが目立ちます。従って、足の機能を改善するためにタオルギャザーやカーフレイズ(つま先立運動)は欠かせません。
浮き指、扁平足、開張足のアライメント異常がある場合はタオルギャザーとカーフレイズの両方を行ってください。
アライメント異常が無く、単純に運動過多による疲労性障害として発症したシーバー病の場合は、かかとの骨に付着するアキレス腱やアキレス腱とかかとの骨の間にある脂肪体組織(ケーラーズファットパッド)や踵の底面にある脂肪体組織(ヒールファトパッド)が硬くなることがあります。これらをほぐす意味でカーフレイズを行い、またアキレス腱やかかと周囲をマッサージや軽い指圧などで揉みほぐすことで改善効果が得られます。

シーバー病リハビリ・タオルギャザー
シーバー病リハビリ・カーフレイズ・つま先立運動

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